火曜日, 7月 07, 2020

注目したい二つのアメリカン・ドラマ

  アメリカ大統領の話題を書いたついでに、アメリカのテレビドラマで気になった二つの作品について書いてみます。どちらもアマゾン・プライムで知った作品で、一つはアマゾン・オリジナル作品で日本名は「高い城の男(THE MAN IN THE HIGH CASTLE)」です。
 もう一つは、アメリカのケーブルチャネルの一つで、高品質の作品作りでは定評のあるHBO(Home Box Office)作品の「プロット・アゲンスト・アメリカ(THE PLOT AGAINST AMERICA)」です。この作品は、アメリカの現代作家として有名なフイリップ・ロスの歴史改変小説をテレビ・ドラマ化しています。ストリーの概略としては、1940年代の大統領選から話が始まります。半ユダヤ主義者で親ナチズムのリンドバーグ(大西洋単独横断飛行の英雄)がルーズベルトに打ち勝ち、大統領になるというモメントからストーリーが動いていきます。ニュージャージー州ニューアーク市に住むジューイッシュ家族を中心に、アメリカがナチズム化していく様子を描いています。日本では、スターチャネルが放送しており、アマゾン・プライムも期間限定で配信しています。
 歴史改変ストーリーということでは、「高い城の男」も同じで、こちらは、ナチス・ドイツと日本が先の大戦で勝利し、ドイツと日本で、アメリカを二分割統治するという架空のお話です。東側半分をナチス・ドイツが、西側半分を日本が統治するという荒唐無稽なお話ですが、現在から半世紀以上前の時代設の中では、映像を観る限り、妙に現実感が漂っていて、見応えがありました。映画「グラディエーター」の監督として有名なリドリー・スコットがこのアマゾン・オリジナルのシリーズの製作総指揮にあたっています。
 さて、私がメディア・ウォッチャーとして注目している点は二つあります。一つは、ナチズムとその結果残された歴史というのは、欧米にあっては、当分の間、小説や映画やテレビ・ドラマにおいて、ストーリー構成を構築しやすくて、かつ、メッセージ性を託しやすいテーマだという点です。特に、「メッセージ性を託しやすいテーマ」という観点から、現在放送が進行中の「プロット・アゲンスト・アメリカ」を、特に注目しています。自国民と世界を分断の極地に追いやろうとしてきたトランプが大統領再戦を控えるこの時期に、ナチズムとアメリカ民主主義の理想を逸脱しまくっている現アメリカの中で放送されるという意義は、とても大きいと思うからです。それは、リンドバーグ大統領がドラマの中で打ち出してくる政策が、即トランプをダイレクトにイメージさせるからです。例えば、人種隔離政策など。アメリカの混迷と苦悩は深いですね!
 PS: オンデマンド系でHBO作品を体験できることは、本当にありがたいと感じています。トム・ハンクスとスティーブン・スピルバーグが共同プロデューサーとして関わった「バンド・オブ・ブラザース(Band of Brothers)」や、「エンジェルス・イン・アメリカ」、「ゲーム・オブ・スローンズ」など、アメリカの良心的な作品が数多くあり、私はファンですね。

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   アマゾン・プライムのラインアップ構成、なかなか気が利いていると思います。このお盆の時期、見放題のラインアップに、「戦争と人間=3部作品」や「永遠の0」が出てきていましたが、それよりも良かったと思ったのは、「空人」です。エンターテイメント性は希薄ですが、これぞ名画といった作品...