昨晩は、トム・ハンクス脚本・主演の「グレイハウンド」を観ました。第2次対戦中のアメリカから欧州への支援物資を運ぶ船団を護衛する駆逐艦(グレイハウンド)の船長(トム・ハンクス)の物語です。
初回の視聴での感想としては、後半で繰り広げられる駆逐艦VS潜水艦・Uボート(群狼作戦として知られています。Uボート複数が群れをなして輸送船団を攻撃する作戦)の緊迫した戦いが、ドラマの主要構成になっていました。そのシーンを見て、これはまるでネルソン提督時代の接近戦に近い状況だったのだと分かったことです。勿論、脚色された演出部分があるのでしょうが、Uボートを追い詰めて浮上させ、艦砲射撃で遣り合うシーンには驚きました。
潜水艦を追いかけるという点では、トム・クランシー原作の「レッド・オクトーバー」(The Hunt for Red October)がよく知られています。しかし、これは架空の設定で現実味に乏しいのですが、上質のエンターテイメント作品だったと思います。
そして、最も有名な潜水艦映画としてはドイツで製作された、その名もズバリ、「Uボート」(Das Boot/The Boat)でしょう! この映画は1981年に、まだ西ドイツ時代に製作されています。実物大のレプリカを造り、その中での撮影は素晴らしいものがありました。潜水艦の館内映像として、この映画を上回る作品は、以後、出ていないように思います。私は、この映画も繰り返し繰り返し観ていますが、飽きるどころか毎回新鮮な発見があって、いまだに映画というモノを学ばせてもらっている感じがします。
ハリソン・フォードがロシアの原子力潜水艦の艦長役を務めた「K-19」(The Widowmaker)も、確かに味わい深い作品ですが、どこか暗さが漂っていて、今一つ好きになれませんでした。同じく、日本映画で、最近製作された「ローレライ」も、同じように突き抜けたところがなく、並評価になってしまいますね!
古いところでは、邦題「眼下の敵」(The Enemy Below)は、何度見ても見応えのある作品です。アメリカの駆逐艦 VS Uボートという点では、「グレイハウンド」と同じです。アメリカ海軍駆逐艦 の艦長マレル(ロバート・ミッチャム)とUボートの艦長シュトルベルク(クルト・ユルゲンス)の知恵と勇気を賭けた戦いには、実に引き込まれてしまいます。潜水艦映画の模範となる重要な作品であり、以後の製作者たちが一様にこの作品を意識してきたことは明らかです。
「グレイハウンド」を観ながら、この大西洋におけるUボートと輸送船団の戦いの奥に潜んでいたストーリーにも、連想的にメディア・ウォッチャーの意識がくすぐられます。それはドイツの暗号製作機「エニグマ」を巡る解読劇、その解読劇を軸に据えたドラマと映画の数々です。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」では、コンピューターの原型となるチーリング・マシーンの製作プロセスを追いながら、彼の秘密が暴露されていく訳ですが、当時の主眼としてはナチス・ドイツの暗号を破るための戦いであり、その鍵となる暗号機(エニグマ)とコード・ブックは、大西洋で沈没寸前のUボートからイギリス海軍に奪取されたモノだったとの事実が戦後50年以上たった近年になって、次々と公開され始めています。エニグマは破られていた事実をイギリスは長年に渡って秘密にしてきたのです。この暗号解読を専門的に行なっていたのが、イギリスのの通信傍受機関、政府通信本部(GCHQ)ですが、そこは「ブレッチリー・パーク」として知られています。
女優ケイト・ウィンスロットが出演した、その名もズバリ「エニグマ」は、ドイツの暗号解読に関わるストーリーであり、現場は「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」と同じく、「ブレッチリー・パーク」です。テレビドラマとしては、「THE BLETCHLEY CIRCLE」。Netflixでは、「ブレッチリー・サークル」として配信され、現在は、Amazon Preimeでは、「暗号探偵クラブ」として配信中となっています。
イギリスはブレッチリー・パークでの暗号解読の事実を長年に渡って秘密にしてきましたが、今後も情報開示により、半世紀以上前の世界史に繋がるエピソードがたくさん出てくると思われています。
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