火曜日, 3月 18, 2008

文藝春秋/つまみ読み  ツン読の先に見えてくるモノとは……

結局二日間に渡ってしまったのだが、事業所(つまり大学当局)へ提出が義務づけされている健康診断の諸データを採取してもらうために、福井県立病院へ出向いた。昨日の採血データに、異常値が見つかり、内科の再診断のため今日も病院へ出向いた。再度採血し、結果を観たところ、風邪気味で喉が腫れている程度の炎症性の白血球値上昇だと診断され、血液性の難病の疑いは消えた。しかし、白血球値が異常に高い結果には、正直、驚いたが、よく考えると、先週末の卒業式と謝恩会から福井へ戻り、深夜までパソコン仕事をして翌日の朝、つまり日曜日の朝、軽い風邪気味だったことを思い出し、自分でも納得。まぁ、時には医者から冷や水を浴びせられるのも、反省材料としては刺激があり、よかったと思うことにしている。
 その病院での時間を潰すために、現在書店に出ている文藝春秋四月号をツン読していた。天皇家の問題を、イージス艦の衝突事故の特集記事などには目もくれず、というか、話題がすでに私の興味を失っている性もあり、雑誌の後半に集中している軽い記事に目を通していた。その中で面白い対談記事があり、是非、このブログで紹介してみようと思うようになった。
 その記事とは、ビックコミックに40年以上に渡り連続掲載されているさとうたかお作のゴルゴ13について、前外相の麻生太郎と作者が対談している記事だ。漫画を現代日本文化の花として誇りにしている麻生氏がさとうたかおさんとどのような話題を共有するのか、興味津々で読み進んだのだが、これは面白かった。完全に日本文化論として成立しており、両者の現日本文化に対する危機意識が随所に披露されており、飽きないのだ。官を育て、個を育てない日本がいま陥っている欠陥を、それこそ平易な話題でズバリ斬っている。あるいは、スナイパー・デューク東郷の名前の由来など、始めて読者が知るような逸話もスパイスが効いており、単に対談記事というレベルをはるかに凌駕した内容の濃いしつらえになっている。読み終わった後も爽やかな満足感に包まれる、最近まれに見る好編集の記事だ。
 特に面白かったのは、言葉が重視される欧米で、言葉ではないコミュニケーション・ツールの漫画により、欧米の子供たちが言葉以外の表現方法からあることを理解していける文化媒体を広めた功績は、今後の国際社会の上に非常に大きな文化的意義があるという観点を両者がともに認識している点だ。出版文化論を構成し教えている者として、この記事は授業の話題にしても良いくらいの内容を含んでいた。学生諸君にも読んで貰いたいな。

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