月曜日, 12月 04, 2006

王 敏(ワン・ミン)著「日中2000年の不理解」朝日新書

安田文明史観によれば、日本の文明は縄文文明、すなわち、森、自然に深く依存し、その中で培われたアミニズムがベースにあるという。そのベースに長江文明から伝来した稲作漁労の文明が乗り、独特の文明となっていると説明している。確かに、大陸からの文化、宗教などが後に怒濤のごとく入り込むのだが、大陸で形成されたそれらの文化や習俗は、日本という土壌で変質し独自の文化になっているという観点も述べられている。
 では、中国側から現在の日本文明をどのように解釈しているのか? この疑問に見事回答をあたえてくれた書が、この「日中2000年の不理解」である。筆者は、長らく日本に滞在しながら、中国側から観た日本文明の特質を、動物たちへの接し方や短歌和歌に表れる自然認識の特徴や、日本人が好む漢詩の傾向とその漢詩が中国ではどのような評価と認識を持って考えられているかを比較する事によって、日本文明の特質をえぐり出している。世界的には、日本と中国は同文同種の兄弟文化とされている訳だが、似て非なる日本文化を、事例を上げて検証した、実に楽しい書籍だ。
 そして、著者は日本文明の特質は、「感性で受け止める美意識に彩られた自然融合感」が基層にあると試論している。この提言、キーワーディングに大変納得してしまった。

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