中国が気に掛かる。そこで産経新聞北京総局長を務め、現在はワシントンを中心にジャーナリスト活動をしている古森氏の新刊本を昨晩から大学への道すがら読んでみた。21世紀は、アメリカと中国が覇権を競い合う世紀になることは間違いなく、中でも、中国の国際戦略や東アジア政策が、どこを、何を目指しているかが注目されるのである。
古森氏は毎日新聞のサイゴン特派員から海外報道のキャリアを開始し、ワシントンや北京、一時ロンドンを拠点としたこともあり、日本きっての国際ジャーナリストである。ボーン賞受賞者でアジア報道を専門に行っていた産経新聞の近藤紘一さんの著書にも、サイゴン時代の古森氏が登場していて、10数年前に近藤著書にのめり込んでいた頃を思い出した。近藤は、民衆の生活レベルからの視点であったのに比べて、古森氏の視点はあくまで国際政治という余人にはうかがい知れない領域を扱っており、ときどき、気が向いたときに彼の書籍を購入していたように記憶している。語り口は、端的にして、少々堅いのだ。
さて、中国であるが、本当にアメリカと軍事的に対峙し、世界に緊張が走るような事態になるのだろうか? 台湾問題、東シナ海海底油田開発問題、靖国批判に象徴される日本バッシングの真意は、このような観点で読み進むと、その危機感は想像以上だった。南京虐殺を描いたハリウッド映画の真偽などが、中国の国際情報操作の一環として、政府の意を受けて展開されている話などは、ビックリしてしまった。面白さをとおりこして、不気味な感じである。このガセネタは、繰り返しアメリカに存在する中国系団体から仕掛けられた反日キャンペーンらしいのだが、噂に尾ひれが付くと、本当に映画が出来てしまいそうな国際情勢もありそうで、苦々しいね。
マスターは、2019年3月末をもって四日市大学環境情報学部のメディア専攻の教授職を辞しました。科学雑誌Newtonの編集者にしてNY特派員、大学でのメディア教育、これらの経歴を活かしつつ、これからは情報工房伽藍の主催者として、引き続きメディア・ウォッチングを続けます。これからは特に、オンデマンド系について、こだわっていきたいと思います。
月曜日, 11月 27, 2006
古森義久著「凛とした日本ーワシントンから外交を読むー」
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