世は藤沢周平流行(ばやり)である。NHK BSHiでは、各界の名士が藤沢作品との出会いと付き合い方を15分のドキュメンタリータッチで、ご本人の朗読付きで紹介する小番組を放送している程だから、その裾野の広さは相当大きいに違いない。このような思いに駆られて、昨年年末頃から作品を読みたい気持ちが募っていた。しかし、他の領域の書籍を、大学の授業準備、研究課題との摺り合わせながら読んでいたので、なかなか愉しむ機会が無く、半年が過ぎようとしている。
そこで先週から、原典読書はさておいて、山田洋次監督3部作を一気に体験するDVDツアーを行った。まず、昨年公開され、木村拓哉が主演を演じたことでも話題となった「武士の一分」から始めた。続いて、真田広之主演の「たそがれ清兵衛」、永瀬正敏主演の「隠し剣鬼の爪」を連続鑑賞。どの話にも似たような共通性があることを発見し、「そうなのか、なるほど、なるほど」という感じである。
どの話も、下級武士が主人公となっている。そして、赤貧の生活を慎ましやかに、精々として励みながら生きている。ところが一端藩に事件が起きると、この者たちは、翻弄され、愚弄され、生きるか死ぬかの窮地に立たされるのだ。ある主人公は藩命にさからったかつての盟友を成敗するお役を申しつけられ、ある者は藩の役として毒味をしていたことから失明し、生活は困窮し、そのために妻を不貞へと走らせてしまう。あるいは、心優しい性格から身分の違うかつての奉公人を嫁ぎ先から連れ出してしまい、世間から白い目で見られてしまう。それぞれ、人としての最も大切すべき誠意、慈愛、慈悲の心に溢れた主人公たちが、自分に降りかかった不条理を、それぞれの努力と勇気で乗り越えていくのだ。
その姿が感動を呼ぶ。主人公たちは、決してヒーローではない。池波正太郎作品に出てくる鬼平のような英雄譚ではないところに、多くの人々が共感を覚えるのである。それは、「勝ち組、負け組」といった不条理な二分法がまかり通っている「今」だからこそ、輝きをもって受け入れられる素地を、私たちに示してくれるのだ。
さて、助演陣、特に女優の存在にも触れてみたいのだが、山田洋次監督3部作の初期2作品には、宮沢りえ(たそがれ清兵衛)、松たか子(隠し剣鬼の爪)という名の売れた女優を配しいている。ご両人とも、水準以上の演技を披露しているとは思うのだが、私は、木村拓哉の相手役を務めた、檀れい(武士の一分)に注目した。この女優にはいままでの女優にない、極めて特異な華がありそうだ。私は彼女の次回作に注目したいと思う。彼女には、相当に大きな、スケール感の大きな役者としての潜在力を感じている。
雨の夜長、雪の降る寒々しい夜、これらの作品を再度愉しむことにしょう。心を浄化してくれる、そんな世界が期待できるから。さて、小松菜の煮物でも創ろう。
そこで先週から、原典読書はさておいて、山田洋次監督3部作を一気に体験するDVDツアーを行った。まず、昨年公開され、木村拓哉が主演を演じたことでも話題となった「武士の一分」から始めた。続いて、真田広之主演の「たそがれ清兵衛」、永瀬正敏主演の「隠し剣鬼の爪」を連続鑑賞。どの話にも似たような共通性があることを発見し、「そうなのか、なるほど、なるほど」という感じである。
どの話も、下級武士が主人公となっている。そして、赤貧の生活を慎ましやかに、精々として励みながら生きている。ところが一端藩に事件が起きると、この者たちは、翻弄され、愚弄され、生きるか死ぬかの窮地に立たされるのだ。ある主人公は藩命にさからったかつての盟友を成敗するお役を申しつけられ、ある者は藩の役として毒味をしていたことから失明し、生活は困窮し、そのために妻を不貞へと走らせてしまう。あるいは、心優しい性格から身分の違うかつての奉公人を嫁ぎ先から連れ出してしまい、世間から白い目で見られてしまう。それぞれ、人としての最も大切すべき誠意、慈愛、慈悲の心に溢れた主人公たちが、自分に降りかかった不条理を、それぞれの努力と勇気で乗り越えていくのだ。
その姿が感動を呼ぶ。主人公たちは、決してヒーローではない。池波正太郎作品に出てくる鬼平のような英雄譚ではないところに、多くの人々が共感を覚えるのである。それは、「勝ち組、負け組」といった不条理な二分法がまかり通っている「今」だからこそ、輝きをもって受け入れられる素地を、私たちに示してくれるのだ。
さて、助演陣、特に女優の存在にも触れてみたいのだが、山田洋次監督3部作の初期2作品には、宮沢りえ(たそがれ清兵衛)、松たか子(隠し剣鬼の爪)という名の売れた女優を配しいている。ご両人とも、水準以上の演技を披露しているとは思うのだが、私は、木村拓哉の相手役を務めた、檀れい(武士の一分)に注目した。この女優にはいままでの女優にない、極めて特異な華がありそうだ。私は彼女の次回作に注目したいと思う。彼女には、相当に大きな、スケール感の大きな役者としての潜在力を感じている。
雨の夜長、雪の降る寒々しい夜、これらの作品を再度愉しむことにしょう。心を浄化してくれる、そんな世界が期待できるから。さて、小松菜の煮物でも創ろう。
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