水曜日, 2月 14, 2007

塩野七生著「わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡」塩野七生ルネサンス著作集第7巻

権謀術数の代名詞となっているマキアヴェッリ。そのまがまがしいイメージから、正直言って毛嫌いしていた。何も知らないのに、だ。読んでみて、イメージが一変した。なんと生真面目で、理想主義者で、でもどこか嫌らしいく、人間的。何より、政治の基本を人間の持つ正邪両面を見据えた上で国家運営を考えたり、そして国益重視の外交だったりと、政治の技術に薄っぺらい正義感や宗教的倫理観などを介入させないクールで冷徹な観察眼に引きつけられた。
 それにしても塩野さんは、真っ正面から対象に向かっている。この姿勢がビンビン読者に伝わり、権謀術数の人も、ただの「男」として丸裸にしてしまっているのには、痛快ですらある。喜劇の脚本まで書いていたとは。塩野さんはこのテーマをローマ人の物語を書き終えるのが見えてきた頃から取り組んでいるのだが、確かにカエサルやアウグストゥスなどの権勢を知った上だと、より理解しやすい。その意味でも、私もようやくルネサンスを勉強するための入り口に近づいたようだ。次は、塩野七生ルネサンス著作集の1巻、2巻へと進みたい。

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