火曜日, 8月 18, 2009

この夏の備忘録 BS20周年


この夏休みは、この2年間途絶えていたテレビ鑑賞と集中的DVD鑑賞を意識的に行っている。テレビでは、BS放送20周年を節目を感じ取り、最近のテレビ番組の制作姿勢を検証しつつ、インターネット時代のドキュメンタリーとはどのような変化があるのかというテーマで見ている。DVD集中鑑賞の方は、純粋にリラックス目的で、韓国ドラマばかりを見ている。今日は、その成果をまとめておきたい。
 実はこのように思い立ったのは他でもない。あるドキュメンタリーを見たからだ。BS2では、BS放送20周年を記念して、「BS20周年ベストコレクション」という番組を放送している。先週の土曜日は3時間枠で2本のベストコレクションが放送された。1本は、「食は文学にあり 荷風と谷崎 終戦前夜の晩餐」であり、もう1本は「ハイビジョン特集 あの夏 60年目の恋文」だ。2本とも、演出構成は石澤義典番組担当ディレクター。「食は文学にあり」は初めてだったが、「あの夏 60年目の恋文」は2度目である。最初に見たときは、ドラマ仕立てにするドキュメンタリーの手法でも、こんなにリアルで自然な演出があるものかと驚いた記憶があった。しかし、今回改めて鑑賞し、提起されてくるテーマの深さや時代を考える上での課題となる題材に溢れており、さらに、胸の奥にふつふつと沸き上がってくるある思いまで引き起こされてしまった。
 それは、現在私が教育に関わっており、多少なりとも若者たちの人生に影響を与えうる立場にいるという現実を、「もう一度考え直してみろ」という天からの啓示かもしれない。ずばり核心を述べると、ドキュメンタリーの当事者たる映像作家岩佐寿弥氏がゲストとして解説した一節に行き当たる。昭和19年という戦時下体制の中にあっても、当時の奈良女子大附属小学校には自由で、おおらかで、子供たちの感性を大事にするのびやかな教育が残っていたという事実だ。私はあわててアマゾンへ走った。(オンライン発注したということ)もう一人のドキュメンタリーの主人公川口汐子先生と岩佐さんとの共著「あの夏、少年はいた」を求めるために。
 ゲスト解説者として出演していた映画監督大林宣彦さんも言っていたことだが、再現ドラマが実にリアルで、教室にいる子供たち、若き日の雪山汐子を演じる俳優さんにも、今となっては忘れてしまっていた「昔はこういう日本のお姉さんや無邪気な子供たちが居たのだ」と感じさせてくれる。再現ドラマとしては実に秀逸な出来。
 ドキュメンタリーの再現ドラマでリアルさを追究するということは、テレビ放送の質が変わってきた証拠となる。テレビは一方で、即時性、同時性を追究しているのだが、「即時性、同時性」があまり受けなくなっている現実があるのでは。戦争報道まで、リアルに放送される時代。イラク戦争報道では、アメリカ軍が掃射する実弾に、粉々に砕け散るイラク兵の姿まで放送されてしまうのが今のテレビだから。本来持っていた「即時性、同時性(実況中継)」の良さを今のテレビに求めるのは筋違いなのかも知れない。そう思う一つの査証になる現実として、私は間寛平のアース・マラソンのブログに登録している。今日の日本時間の4時頃にはフランスのルアーブルに到着する予定となっているのだが、それをニコニコ動画ではインターネット配信するのだ。また、毎日届くブログのURLをたどってYouTubeに掲載される日々のクリップを鑑賞する方が、テレビをみるより楽しいのだ。
 マクルーハンはメディアはマッサージだといったが、今、揉んでくれるマッサージ屋さんは、本音を言えばネット・メディアに違いない。NHKでさえ、NHKオンデマンドを立ち上げ、アーカイブを有料で開放し始めている。今や、放送と通信は一体化したという現実認識をもつのが正常な認識というものだ。(NHKオンデマンドの会員登録をしようといきりたっているのだが、残念なことがある。対応するOSがウインドウズであり、対応するブラウザーのエクスポーラーののみという偏狭さ。これは如何なものか)ここからしばし、筆を止めて!
 さて、現在17日の午後4時59分だ。ニコニコ動画で配信されたルアーブル到着の模様をいままで見ていた。一般会員として視聴に参加。なかなか感動ものだったが、ここでも有料化、無料提供の差別化がされていて、一般会員用の画面には、視聴者の書き込むログが流れており、実に見にくいのだが、この月曜日午後の4時過ぎの時間帯に、約1万人から2万人近くが視聴していた。視聴者数が刻々と表示され、視聴者のリアクションが即座にテロップ化されることなど、キー局の放送にはありえないことなので、これはこれで、「マクルーハン流マッサージ」効果絶大とみた。

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