書店の店員が推薦する書籍として、最初じわじわ、なかぱっぱ、一昨年の暮れには大ヒットとなった本である。そして「2006年本屋大賞」を受賞。なんでも、200万部を越す大ヒット本だ。私は、ずっと気に掛かっていたが、常に無視していた。しかし、あることから、ついに読んでしまった。その経緯から説明しよう。
最初は、この冬の月9ドラマからだ。速見もこみち主演、助演が倍賞美津子の11話を全部完全に見通したのではないのだが、まだら状態で、とにかく観ていた。だいたいストーリーは掌握した。春には、日テレ系列から劇場映画となることも知っていた。そこで、テレビと映画では、どのような違いがあるのか、それを観てみたい。演出の違い、挿話の扱い方、演技人の共通性、あるいは非共通性など、観察ポイントはいろいろイメージ出来た。日テレVSフジテレビという観点もある。何より、全体を通してのトーンがどうなっているのかを、直に確かめたくなったのだ。
先週の土曜日、暇を見つけて、劇場映画「東京タワー」を見に行った。こちらは、主演はライフカードのCMでおなじみのオダギリジョーさん。オカンは、樹木希林。オカンの若かりし頃の役は、樹木希林の実の娘である内田也哉子。内田也哉子は、樹木希林とロッカー内田裕也との間に出来た一人娘で、役者本木雅弘と結婚し、子供二人の母親でもある。そう! まず、このキャスティングが、気が利きすぎているのである。樹木希林、内田裕也……、と想像すれば、別居状態夫婦という立派すぎるイメージがあり、「リリーさんちと同じじゃないか!」と思ってしまう。これって、マーケティングなの? マジ、キャスティングなの??? という、観客にはまたとない興味を、持たせてくれるのである。
映画を見終わり、私としては珍しく最後のクレジットロールまで付き合ってしまった。初日の昼の上演だった。土曜日と言うことで、中年の夫婦連れが多い。明らかに目を腫らした人を見てしまった。かくいう私も、自分の母親を思い出しながら、映画に没入してしまっていた。マジ、何年かぶりで、たぶん、20年ぶりくらいで、ドラマを見て、涙がポロポロ落ちていた。
正直にいうと、この映画、出来すぎである。これは素晴らしく上質の映画になっている。何より、樹木希林さんの演技が秀逸なのだ。見事というほか、言葉がない。まさに、化け物役者。そして、その娘の演技も素晴らしいのである。その存在感は、リリーさんの恋人役を演じた松たかこを完全に食っていた。こりゃ、内田裕也オトンもメロメロになるに違いない。これがきっかけで、樹木希林との同居へと、よりを戻すのではなかろうか、とは巷の邪推である。
こうなると、原作に当たらざるを得なくなり、読んでしまったと、いう訳である。読んでみたところ、さらに涙腺が緩くなってしまった。映画を観てから約28時間後の深夜には、涙で文字がぼろぼろになり、眼精疲労克服のためにやもをえず、就寝しなくてはならないくらいだった。書籍の帯に、ある書店員さんが書評を書いていたが、「リリーさん、これは反則だよ!」。私はこの本を、セミナー生に薦めようと思い、2冊購入。研究室に置いてある。
さて、テレビドラマ、劇場映画、原本と確かめてきたわけだが、原書から逸脱した演出、脚色上の配慮から若干書籍のストーリーを膨らませて演出した部分など、実に面白い発見があった。特に、主人公のリリーさんと彼女、そしてオカンとの交流部分が、見事に脚色されている。こういうのって、リリーさんや元彼女の了承積み演出なのだろうか? でも、ここでテレビVS映画の勝負の軍配を決めなくちゃ成らないのだが、私は映画の方が、この書籍の持つ時代的な意味を良く汲み取って演出編集してあり、絶対的に支持したいと考えている。
原作者リリー・フランキー:1963年生まれ。脚本松尾スズキ:1962年生まれ。監督松岡錠司1961年生まれ。素晴らしい才能が花を咲かせている。
この作品を調べていて、もう一つ、嬉しい発見があった。私はセミナーでアニメプロジェクトのメンバーに8分間のアニメーション「岸辺の二人 Father and Daughter」を必ず参考作品として見せている。このアニメを観たあるメンバーなど、8分後には泣いてしまった子がいるくらい素晴らしい作品であるが、その絵本バージョンがくもん出版から発行されている。その翻訳が、内田也哉子さんだったのである。こういう、目に見えない「縁」を発見したとき、私は自分の感性の行方を再確認出来て、とても嬉しいのだ。信じるべき「何か」を確認できたようで、幸せである。
映画「東京タワー」オフィシャルサイト
最初は、この冬の月9ドラマからだ。速見もこみち主演、助演が倍賞美津子の11話を全部完全に見通したのではないのだが、まだら状態で、とにかく観ていた。だいたいストーリーは掌握した。春には、日テレ系列から劇場映画となることも知っていた。そこで、テレビと映画では、どのような違いがあるのか、それを観てみたい。演出の違い、挿話の扱い方、演技人の共通性、あるいは非共通性など、観察ポイントはいろいろイメージ出来た。日テレVSフジテレビという観点もある。何より、全体を通してのトーンがどうなっているのかを、直に確かめたくなったのだ。
先週の土曜日、暇を見つけて、劇場映画「東京タワー」を見に行った。こちらは、主演はライフカードのCMでおなじみのオダギリジョーさん。オカンは、樹木希林。オカンの若かりし頃の役は、樹木希林の実の娘である内田也哉子。内田也哉子は、樹木希林とロッカー内田裕也との間に出来た一人娘で、役者本木雅弘と結婚し、子供二人の母親でもある。そう! まず、このキャスティングが、気が利きすぎているのである。樹木希林、内田裕也……、と想像すれば、別居状態夫婦という立派すぎるイメージがあり、「リリーさんちと同じじゃないか!」と思ってしまう。これって、マーケティングなの? マジ、キャスティングなの??? という、観客にはまたとない興味を、持たせてくれるのである。
映画を見終わり、私としては珍しく最後のクレジットロールまで付き合ってしまった。初日の昼の上演だった。土曜日と言うことで、中年の夫婦連れが多い。明らかに目を腫らした人を見てしまった。かくいう私も、自分の母親を思い出しながら、映画に没入してしまっていた。マジ、何年かぶりで、たぶん、20年ぶりくらいで、ドラマを見て、涙がポロポロ落ちていた。
正直にいうと、この映画、出来すぎである。これは素晴らしく上質の映画になっている。何より、樹木希林さんの演技が秀逸なのだ。見事というほか、言葉がない。まさに、化け物役者。そして、その娘の演技も素晴らしいのである。その存在感は、リリーさんの恋人役を演じた松たかこを完全に食っていた。こりゃ、内田裕也オトンもメロメロになるに違いない。これがきっかけで、樹木希林との同居へと、よりを戻すのではなかろうか、とは巷の邪推である。
こうなると、原作に当たらざるを得なくなり、読んでしまったと、いう訳である。読んでみたところ、さらに涙腺が緩くなってしまった。映画を観てから約28時間後の深夜には、涙で文字がぼろぼろになり、眼精疲労克服のためにやもをえず、就寝しなくてはならないくらいだった。書籍の帯に、ある書店員さんが書評を書いていたが、「リリーさん、これは反則だよ!」。私はこの本を、セミナー生に薦めようと思い、2冊購入。研究室に置いてある。
さて、テレビドラマ、劇場映画、原本と確かめてきたわけだが、原書から逸脱した演出、脚色上の配慮から若干書籍のストーリーを膨らませて演出した部分など、実に面白い発見があった。特に、主人公のリリーさんと彼女、そしてオカンとの交流部分が、見事に脚色されている。こういうのって、リリーさんや元彼女の了承積み演出なのだろうか? でも、ここでテレビVS映画の勝負の軍配を決めなくちゃ成らないのだが、私は映画の方が、この書籍の持つ時代的な意味を良く汲み取って演出編集してあり、絶対的に支持したいと考えている。
原作者リリー・フランキー:1963年生まれ。脚本松尾スズキ:1962年生まれ。監督松岡錠司1961年生まれ。素晴らしい才能が花を咲かせている。
この作品を調べていて、もう一つ、嬉しい発見があった。私はセミナーでアニメプロジェクトのメンバーに8分間のアニメーション「岸辺の二人 Father and Daughter」を必ず参考作品として見せている。このアニメを観たあるメンバーなど、8分後には泣いてしまった子がいるくらい素晴らしい作品であるが、その絵本バージョンがくもん出版から発行されている。その翻訳が、内田也哉子さんだったのである。こういう、目に見えない「縁」を発見したとき、私は自分の感性の行方を再確認出来て、とても嬉しいのだ。信じるべき「何か」を確認できたようで、幸せである。
映画「東京タワー」オフィシャルサイト
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