木曜日, 11月 06, 2008

オバマ氏、大統領選圧勝の意味

アメリカに住んでいたことがあり、第1次イラク戦争時を戦時下のアメリカですごした経験もあり、だからこそ、911同時多発テロには衝撃を受けた。しかし、その後、アメリカが世界に対して取ってきた行動、その方向性については、全く拒絶状態で居た。特に、市場経済主義の先鋭化、一国主義、単独行動主義の先鋭化には、嫌気が差していた。4年前、ブッシュ・ジュニアが大統領に再選されたときは、雨の中を絶望感に包まれながら買い物に行き、虚しい気持ちになったことを思い出している。それ位、ブッシュのアメリカは、最悪だった。
 昨晩大学から戻り、オバマ関連のニュースを見ていて、じんわり嬉しさがこみ上げてきた。勝利宣言のスピーチに聴き入るシカゴの市民の多くが目に涙をためている。それは、黒人だけでなく白人の中にもおり、この勝利の意味の大きさを如実に表していた。これは、アメリカ国民へだけでなく、全世界へ大きな希望を与える歴史的な出来事だ。彼はスピーチの中で、「アメリカの民主主義が衰退したと言った世界の認識は間違っていたことを、今日の結果が示した。この勝利は、私の勝利ではなく、皆さんの勝利だ」と語り、有名なリンカーンの格言を引用していた。日頃は選挙など見向きもしない、いや、選挙による政治参加など意味がないと考えていた低所得層のアフリカ系やヒスパニック系の人々が投票所へ続々集まり、圧倒的な支持率で共和党候補を打ちのめしてしまった。
 世界は強いアメリカを必要としない。より理性的で、包容力のあるアメリカを必要としている。彼は、そのことを理解しているように思える。だから、期待したいと思う。世界の経済を考える前に、自国の経済を健全化してもらいたい。他国に干渉する前に、自国内のモラルや犯罪の少ない社会を実現してもらいたい。固有の民族文化を泥足で無神経に入り込むアメリカ型文化侵略を抑制してほしい。彼なら、そのような方向性に道筋をつけられるかもしれないと……、と言った淡い夢を抱いている。

月曜日, 11月 03, 2008

興奮の余韻の中で……日刊スポーツに見るジャーナリストの見識

昨日の天皇賞は確かに歴史に残る名勝負だった。しかし、多くのファンに一抹の疑問を残しそうな状況だったことも確かだ。その疑問とは、実際にテレビ観戦をしていた人々や東京競馬場で観戦していた人々の中には、ダイワスカーレット優勢と見た人々が多かったからだ。実際には、精密な写真判定の基に下された裁定だった訳だが、その裁定の内容を知らない一般の人々には、「ひょっとして、実際はダイワが勝っていたのでは……」という思いが強く残る。そんな疑念を払拭する記事が、今日の日刊スポーツに載っていた。この記事を読み、「そうそう、こういう記事をつくれば、競馬ジャーナリズムが健全化する。さすが日刊スポーツ!」との、強い思いに駆られた。
 その記事には、見開き全面にゴール瞬間の3頭が映し出されている。その右脇には、JRAが公表した判定写真が掲載されており、さらに、それらの写真の中間に位置するところに、岡本記者の写真判定に対する解説記事が載っている。私が注目するのは、この解説記事なのだ。
 ゴール・ライン上、やや上方から撮影された判定写真に写っているダイワスカーレットの体躯、特に後肢とお尻部分は、明らかにウォッカより前に出ており、写真全体から見る雰囲気としては、ダイワ優勢に写る。しかし、前駆部分、特に頭からハナ先にかけては、まったく一線上にあり、どちらが優勢か素人目には分からない。一方、体躯が詰まった感じになっているダイワと比べると、ウォッカの方は身体を伸ばしきっており、全体的に流れた感じに写っている。そして、その訳を見開きにしたゴール写真の映像を基に、読者に分かる形で岡本記者の解説コラムは記述されていた。
 つまり、ゴール直前の2完歩ほどは、鞍上武豊騎手は、手綱をゆるめ、自分の頭をたてがみに埋めて、ウォッカの自由度を確保しようと努めている。一方、ダイワの安藤勝巳騎手は、最後までハミを取らせて、ウォッカ、デープスカイを差そうと取り組んでいる。その結果、ダイワの方は、首を上げ、体躯を収縮フェーズに持ち込もうとする瞬間で、ゴールを切っていたわけだ。その結果が2センチのウォッカ優勢、先着1位を確保したという解説だった。
 ハナを切り、終始先頭でレースを引っ張り、一度はウォッカとデープスカイに差されながらも差し替えしのために盛り返したダイワの粘りと根性は、見事という他ない。そして、最後はウォッカの能力、気性を信じ、「突き抜けろ!」とハミを外し気味に馬を信じた武豊騎手の技量に、ただただ、感銘するばかりだ。裁定後、二人のジョッキーはさわやかな握手を交わしたそうだが、そんな瞬間も観たかったな!
 一夜明け、冷静になると、レース戦略上の興味が幾つか沸いてくる。逃げるダイワスカーレットを斜め後方から2番手で追走したトーセンキャプテンはウォッカと同じ角居厩舎の馬だ。鞍上はペリエ騎手。コーナー通過順を見てみると、長い直線に入る第4コーナーまで、ダイワを追い詰め、追走している。これは、角居厩舎の作戦だったのでは? ピッタリ追走されれば、ダイワも鞍上アンカツさんも、相当に心理的プレッシャーを受けることは想像に難くない。つまり、第4コーナーまで追走し、ダイワを消耗させる作戦だったとしたら、よく考えたと思うのだ。
 そう思える理由がももう一つある。スタート直後、一枠右隣のトーセンキャプテン(ウォッカは14番、トーセンキャプテンは15番)は、ウォッカの動きを邪魔しないようにするするとウォッカを抜いて、ハナを奪おうとするダイワの右後方に上がっていった。この動きをウォッカ武は、平然とやり過ごしているように見えたのだ。あらかじめ考えられていた予定調和へ向かうように。つまり、ダイワを疲弊させるためのラビットとしての役割をトーセンキャプテンが担っていたのではないかという推理だ。
 だとしたら、角居調教師の作戦勝ちとも言えるのではないだろうか。ダイワスカーレットの松田国英調教師は、角居勝彦調教師の師匠であり、この師弟対決も語り継がれるだろう。その松田国英調教師は、「おれもウォッカみたいな馬を調教してみたい」と、独特な言い方で相手を讃えたらしいが、7ヶ月休養明けで大舞台に出走させる手腕と自信からすると、負けたとは思っていないはずだ。
 ファンとしては、ウォッカVSダイワスカーレットの再戦をもう一度見たい。もちろん、その場合も私はウォッカに賭ける。安田記念に引き続き、2度もG1的中に導いてくれたアイドルを、そう簡単には見限れない。それにしても、口取りに現れたウォッカの泰然とした気品ある勇姿には惚れ惚れとするではないか。「本当に、女の子なの?」と思ってしまう。

日曜日, 11月 02, 2008

天皇賞・秋

巷では、3強対決と言われていた。約半年の休養あけから戻ってきた昨年度最優秀牝馬のダイワスカーレット、そして昨年度のダービー馬であり今年の安田記念を制したウォッカ、今年度のダービー馬ディープスカイの3頭だ。結着は、人気通りに、1着ウォッカ、2着ダイワスカーレット、3着ディープスカイだった。しかも、上位4頭までタイム差なしのレコード結着。1着2着3着は、まさに単勝オッズの順位そのままだった。
 このように、世論の予想通りにことが運ぶ事というのはなかなか無いことで、その意味でも驚いている。我が馬券は、馬連と3連単のダブル的中ではあったが、配当が低くて、またもや儲けそびれ。しかし、G1で的中すると実に爽快だ。勝利ジョッキー・インタビューで、武豊が「勝たせてくれたファンの皆さんとウォッカに感謝します」と、やけに神妙だったことが印象的。そうだろうと思うのは、彼にとって、今年のG1は不運続きで、2月のダート重賞フェブラリー・ステークスをヴァーミアンで制して以来となるからだ。また、天皇賞の前哨戦毎日王冠では意表を突いた逃げを打ち、結局スーパーフォーネットにゴール直前で差されてしまい、騎乗作戦に陰口をたたかれていたわけだから、この勝ちはズシリとくるものがあったに違いない。
 しかし、毎日王冠レース直後、軽量室に戻ってくるなり、武は、「大丈夫! まったく心配いらないから!」と厩舎関係者に言ったそうだ。彼はこのときすでに、今日の結末やレースの入り方をイメージ出来ていたのだろう。その意味では、会心の騎乗だったに違いないが、ここまで接戦となり、写真判定に10分以上かかるような僅差の勝負になるとは、予想だにしなかったはずだ。それくらい、今日の一戦はデットヒートと呼ぶにふさわしい好勝負だった。
 ダイワスカーレットの安藤勝巳騎手が事前のインタビューで、今年の3歳馬の参戦(ダービー馬のディープスカイ)について問いかけられて、「古馬と3歳を比較するのは可哀想なんじゃないの」と答えている。我々には分からない世界だが、その通り、今年のダービー馬といえど、最強牝馬世代のお姉さん2頭にはかなわなかったのだから、安藤騎手のジャッジは的確だったのだ。ダイワスカーレットとウォッカの因縁の対決はどこまで続くのだろうか? ファンとしては、有馬記念あたりで、もう一度対決してもらいたいと願うのだが。

   アマゾン・プライムのラインアップ構成、なかなか気が利いていると思います。このお盆の時期、見放題のラインアップに、「戦争と人間=3部作品」や「永遠の0」が出てきていましたが、それよりも良かったと思ったのは、「空人」です。エンターテイメント性は希薄ですが、これぞ名画といった作品...