金曜日, 4月 25, 2008

マグナムの写真家たち セミナーの課題

四日市大学のメディアコミュニケーション学科のセミナーは2年次から始まる。1年生の後記にはセミナーへの導入のための講座がシリーズで開講され、11月頃から各セミナー担当教員との面談が始まり、12月中旬には2年次の配属先が決定する。活動の早いセミナーでは、その年の年末から実質的な活動が始まり、先輩たちに混じって、イベント制作の手伝いををしたり、2年次からフルに活用するパソコンのアプリをひととおり自習しておくなど、前倒しで実質的な教育が始まるようになっている。電子出版セミナーでは、1月、2月の約2ヶ月間をイラストレーターとフォトショップの練習期間に当てており、4月からは、則アプリを応用したグラフィック作品の課題が出される。この10年間、この体制は見事に続いており、今年度も新学期からスムーズにセミナーは始まっている。
 しかし、今年で11年目を迎えたセミナーに新しい、あるいは、さらに深い取り組みをさせたいと考えており、新機軸をぶつけている。それは、写真に対する理解や感性を徹底的に充実させようとする目論見で、世界一の写真家集団マグナムのサイトを徹底的に観察し、考えさせる課題をシリーズでぶつけている。きら星のごとくその名を世にはせた写真家たち、例えば、アンリ・カルティエ・ブレソンやロバートとコーネルのキャッパ兄弟やルネ・ブリ、バート・グリンといった面々の偉大な作品群を縦横に観察しつつ、作品の構成を言葉で説明出来るようにするための課題や、4,5点の写真を並べて、フォトエッセーを書かせてみたり、何故、その写真を選んだのかを口頭でプレゼンさせたりといった訓練を始めている。
 そういう訳で、私も再度、徹底的にマグナムの写真を見続けていた。そして、この歳になるまで気がつかなかった事実にも巡り会った。それは、フランスの画家マティスの晩年の肖像写真についてのことだ。白いインコとおぼしき3羽の鳥が手前の鳥かごの上に乗っており、左側には深々と腰掛けたマティスが、左手で1羽の白いインコを掴み、右手でその鳥のスケッチをしている写真である。マティスの晩年の肖像写真として、あまりにも有名な写真だが、その撮影者がアンリ・カルティエ・ブレソンだとは、今の今まで気がつかなかった。いや、過去にその事実に触れたことはあっても、記憶するまでではなかったのかもしれない。
 マグナムの活動については、NHKがスペシャル番組を創るくらいに、現代においては注目すべき価値があるように感じている。テレビや動く映像、つまり動画文化にどっぷりひたりきっているネット世代にとって、ある一瞬を切り取り、その一瞬が持つ感性と社会的な意味を永遠に固定する表現領域への見直しが必要な、そのようなメディア環境時代だと思っている。
 Magnum Photos

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