今年の4月からNHK BS2では、原語(朝鮮語)による「チャングム」の再放送が流れている。金曜日午後8時頃から始まるこの再放送を、なんと私は、またもや、はまってしまって、見ている。確かに朝鮮語による映像には、日本語に吹き替えにはない迫力があり、語感に潜む別の情緒世界を味わえる。あの意地悪で、上昇志向の強いチェサングンさんの声が、やけに可愛かったりして、思わぬ魅力を発見できる再放送は、面白い。NHKだけで3回も再放送になったドラマなど、過去にあったであろうか?
私は昭和26年生まれのラジオ世代だ。小学校6年の時、父親が早朝のNHK英会話の放送を聞かせるために買ってくれたトランジスターラジオから、ラジオとの付き合いが始まった。中学になる頃には、湯川礼子さんがDJを勤める番組でビートルズを知り、地球の裏側の流行を想像していた。高校受験時には、すっかり深夜放送族になっていた。ジェットストリームの始まりを心待ちして、深夜飛行に憧れていたものだ。
深夜放送を聞く習慣は、高校生になるとさらに日常化した。そして、高校1年生のある頃、私が始めて音楽を強く認識したある曲が流れたのだ。3人組のフォーククルセーダーズが唄う「イムジン河」。こんなに胸を締め付けられるような旋律がこの世にあるのかと驚き、マジで、凄い発見をしたような気になり、毎晩この曲がかからないかと期待する日々が始まった。しかし、数回放送された頃には、「これからは放送出来なくなりました」という事態になり、曲の背景にある朝鮮半島を巡る複雑な政治情勢があることを知り、こんなことで放送が禁止になるなんて「おかしい」という思いに駆られたものだ。これが私の初めての政治意識に萌芽だったのかもしれない。
私には、その後のフォーククルセーダーズの曲、例えば、「帰って来たヨッパライ」や「悲しくてやりきれない」、「青年は荒野を目指す」など、名曲がたくさんあるのだが、今も「イムジン河」だけは、別格の存在として、心に響いている。昭和42,3年頃から、東大紛争があった昭和44,5年頃にかけてのサブカルチュア・ムーブメントは、この「イムジン河」に象徴されているように思うのだ。今から、約30数年前の話である。
この曲をフュチャーした映画が2005年に公開された井筒和幸監督作品「パッチギ!」である。この5月にはシリーズとも言える「パッチギ Love & Peace」が劇場公開されている。数日前、テレビ放映された第1作目「パッチギ!」をみて、引っかかった。全編にわたって「イムジン河」がテーマミュージックのように扱われていたからだ。そこで、現在公開されいる「パッチギ Love & Peace」も見てみたくなって、昨晩、レイトショーに行ってみた。観客は、私を含めて4人。折からの「パイレーツ・オブ・カリビアンⅢ」には長蛇の列ができているというのに。
見終わって、変な違和感に襲われた。それは、日韓に横たわるひずみそのもののように感じられた。在日の方々には申し訳ないが、無理して理解しよう、時代背景やエピソードを無理して日韓に横たわる問題にすり寄せようとし過ぎなのだ。ジメジメとした感傷が残ってしまい、爽やかになれなかった。第1作目の方が、はるかにストレートで、青春映画として成功していると思えてならない。その感情は帰宅しても消えず、口直しが必要になった。それも、ペヤングの焼きそばでは駄目なのだ。結局、口直しは、クァク・ジェヨン監督作品「ラブストーリー」となった。千五百円のレイトショーは何だったのだろう......。
私は昭和26年生まれのラジオ世代だ。小学校6年の時、父親が早朝のNHK英会話の放送を聞かせるために買ってくれたトランジスターラジオから、ラジオとの付き合いが始まった。中学になる頃には、湯川礼子さんがDJを勤める番組でビートルズを知り、地球の裏側の流行を想像していた。高校受験時には、すっかり深夜放送族になっていた。ジェットストリームの始まりを心待ちして、深夜飛行に憧れていたものだ。
深夜放送を聞く習慣は、高校生になるとさらに日常化した。そして、高校1年生のある頃、私が始めて音楽を強く認識したある曲が流れたのだ。3人組のフォーククルセーダーズが唄う「イムジン河」。こんなに胸を締め付けられるような旋律がこの世にあるのかと驚き、マジで、凄い発見をしたような気になり、毎晩この曲がかからないかと期待する日々が始まった。しかし、数回放送された頃には、「これからは放送出来なくなりました」という事態になり、曲の背景にある朝鮮半島を巡る複雑な政治情勢があることを知り、こんなことで放送が禁止になるなんて「おかしい」という思いに駆られたものだ。これが私の初めての政治意識に萌芽だったのかもしれない。
私には、その後のフォーククルセーダーズの曲、例えば、「帰って来たヨッパライ」や「悲しくてやりきれない」、「青年は荒野を目指す」など、名曲がたくさんあるのだが、今も「イムジン河」だけは、別格の存在として、心に響いている。昭和42,3年頃から、東大紛争があった昭和44,5年頃にかけてのサブカルチュア・ムーブメントは、この「イムジン河」に象徴されているように思うのだ。今から、約30数年前の話である。
この曲をフュチャーした映画が2005年に公開された井筒和幸監督作品「パッチギ!」である。この5月にはシリーズとも言える「パッチギ Love & Peace」が劇場公開されている。数日前、テレビ放映された第1作目「パッチギ!」をみて、引っかかった。全編にわたって「イムジン河」がテーマミュージックのように扱われていたからだ。そこで、現在公開されいる「パッチギ Love & Peace」も見てみたくなって、昨晩、レイトショーに行ってみた。観客は、私を含めて4人。折からの「パイレーツ・オブ・カリビアンⅢ」には長蛇の列ができているというのに。
見終わって、変な違和感に襲われた。それは、日韓に横たわるひずみそのもののように感じられた。在日の方々には申し訳ないが、無理して理解しよう、時代背景やエピソードを無理して日韓に横たわる問題にすり寄せようとし過ぎなのだ。ジメジメとした感傷が残ってしまい、爽やかになれなかった。第1作目の方が、はるかにストレートで、青春映画として成功していると思えてならない。その感情は帰宅しても消えず、口直しが必要になった。それも、ペヤングの焼きそばでは駄目なのだ。結局、口直しは、クァク・ジェヨン監督作品「ラブストーリー」となった。千五百円のレイトショーは何だったのだろう......。
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