土曜日, 5月 19, 2012

福井のクリエティブ・スポット FLATの SCHOOlING: 菱川勢一さん、森の木琴を語る

森の木琴というDOCOMOのCMをまとめ上げた人として、最近、超有名になっている菱川勢一さんの講演会に行ってきた。
本人の肩書き紹介では、映像作家/デザイナー/写真家となっているが、基本は、クライアントの意向に沿って、あるいは、意向にだめ出ししながら、何かの新しい価値を創り出すクリエーターと言える。手がけた作品群、いや、プロジェクトといった方が適切かもしれないのだが、事例を挙げながらプレゼンが進んでいった。事例としてあげられたのは、Long Lifeのシリーズ、NHK大河ドラマ「功名が辻」のCGのみで構成したタイトル、鹿児島の老舗デパートと地域を結びつけた再生プロジェクト「Maruya gardens」の話、ぼろぼろに崩れてしまったSonyのブランディングをどう捉えて、如何にSonyを叱りつけて、銀座のSony Bildingのイメージ映像を完成させたか、そして、トリが、DOCOMOの「森の木琴」の話だった。
約1時間半の予定を40分以上オーバーする熱の入ったレクチュアだった。久しぶりに本物の話が聞けた満足感に浸っている。いくつか、感想・印象を記録しておこう。
森の木琴がカンヌで3冠を獲得したニュースは、丁度、昨年の今頃の話だった。震災後のうつうつとした世相の中に飛び込んで来たニュース、そして、森の木琴の映像が醸し出す、静寂で、それでいて、最後まで一種のドキドキ感を抱かせながら木琴が演奏していくスリルに、心が洗われた記憶がある。しかし、映像とは裏腹に、そこに秘められたコンセプトは、放置されて久しい日本の森林が、まさに死んでいこうとする瀬戸際にあること、森林に光を入れて、共生植物を豊かにする間引き伐採ができなくなっていること、すなわち間伐材が放置されている現実など、環境問題化している「死に行く日本の森林」を見直し、木材に対する社会的な需要を呼び起こす手立ての一環として、木製の携帯電話が企画された。このような環境との関わりから、この木製携帯とCNが企画された点はあまり知られてない。
従って、ロケハンは、まず死に行く森を見つけることから始まり、そのロケ地に近い環境のもとで、木琴を製作してくれるチームを九州大学の学生さんたちに協力して貰い、約44メートルの木琴を森の中に設置する。撮影は、合計で49回に及んだが、最後に木製の球が木製携帯の横に見事に止まるまで、撮影チーム、スタッフ全員が粘りに粘って、最終ショットをものにした話は、製作現場の空気が伝わってくるような緊迫感があった。
関連URLs:
https://www.facebook.com/events/257832707647511/
http://www.drawingandmanual.jp/



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