金曜日, 9月 19, 2008

悲しき福井の彼岸花 ガーデニング・ショップで聞いた嫌なお話

NHKのハイビジョン・スペシャルで放映された愛知県半田市は矢勝川の堤を覆い尽くす約百万本の彼岸花。一人の老人の地道な努力が、やがて地域の人々の自然発生的な環境保護運動となり、ないよりも約2キロに渡って咲き乱れる彼岸花の堤に近郷の人々だけでなく、全国からその景観を見に来るという。その彼岸花の福井バージョンは、あまりにも寂しく、悲しい話だ。
 福井でも私の子供の頃は、あぜ道や九頭竜河の堤防には自生している彼岸花を見ることが出来た。これは、かすかに記憶に残っており、上記のドキュメンタリーを見ながら、さて、福井ではあまり見かけなくなったが、どうしたのだろうと疑問に思った。割れて垂れ下がるような朱色の花と同じく細く割れている緑の葉。何故か、心に引っかかったのだ。よく考えると、旧宅の敷地のなかに、一株か、二株、この彼岸花があったことに気がついた。しかし、現在は立ち枯れてしまったのだろう、見かけない。そうなると、無性に彼岸花を旧宅敷地内に再生させたくなった。
 そこで、園芸店に行き、彼岸花の球根を手に入れるにはどうしたらよいかを尋ねたところ、年配の女性オーナーが、興味深いお話を教えてくれた。確かに、この福井平野、坂井平野のあぜ道、河原、堤には、彼岸花は約40年ほど前までは自生していたらしい。しかし、約30年前、民間の単純なうわさ話が広がり、それを契機に、彼岸花の球根とい言う球根が、多くの福井人に寄って掘り起こされ、持ち去られてしまったのだという。その理由は、リューマチか腹下しに聞くという民間伝承が急に広まり、たちどころにその噂は彼岸花球根発掘運動に進化し、だれもが堤に出ていき、掘り起こしてしまったそうだ。
 この騒動を契機に、福井平野からは彼岸花が消えていったらしい。なんとも、人間の欲やそれに駆られた異常行動が、このような環境異変をもたらすのだという生きた実話を聞いてしまい、寂しい気持ちになってしまった。なんとか、彼岸花の球根を手に入れ、旧宅敷地内に再生するプロジェクトを立ち上げたい。

2 件のコメント:

NABe さんのコメント...

僕の地元のお話じゃないですか!
とはいえお隣の市のせい?なのか
僕がもの知らずなのか初めて聞きました。
帰郷した際にでも一度見てみたいです。

環情学部生徒 さんのコメント...

環境を勉強していると、このようなお話はよくお伺いすることがあります。お伺いしたところで私は「仕方がないよ」の一言で終わりにしてきました。しかし、近頃環境情報学を学んできて、環境保護の活動の始まりは、誰かが悲しいと思い、行動する。そこに、始まりはあるのだと気付きました。大切な風景がなくなった、これで終わりにしてはいけません。何かを感じて、動いてみる。そこから、輪は広がり、大切なものはやがて戻る──まさに、環境情報学!
と、いきなりの書き込みすいません。前々から、ブログを読ませていただいており、いつかコメントしたいと考えていたのですが、それが今ということで。
今後も黒島哲夫がどのように、新しい〝伝える〟を編み出していくのか、楽しみにしています。
By四日大生徒

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