土曜日, 8月 31, 2013

シリア情勢〜アメリカの本音は何処に〜

昨晩は深夜過ぎになって、アメリカのケリー国務長官がシリア情勢についてのステートメントを出すということで、零時半頃からCNNにチャネルを合わせて、その時を待っていた。日本時間1時30分頃と伝わっていたが、実際に放送が開始されたのは、2時頃だった。
ケリー長官のステートメントの骨子は、シリア政府が化学兵器を使用したことは、情報機関からの分析から明らかであり、その事実は、情報機関からの分析だけでなく、現地に入り込んだ医療関係者の証言や、多くのSNSに投稿されたビデオなどからも、化学兵器の使用があったことを明らかに実証していると主張! そして、この事実はアメリカの国益および世界の平和をおかす脅威となる可能性が高く、また、世界のリーダーとして、正義を貫くべき立場として見過ごすわけにはいかないアメリカの立場を説明し、軍事行動を含む介入に踏み切る姿勢を示した。
このステートメントが放送されるや否や、アメリカの大手報道機関のWEBサイトには、以下のタイトルの情報機関の分析報告が掲載された。

http://edition.cnn.com/interactive/2013/08/world/syria-documents/index.html?hpt=hp_t2

この報告書を読みながら、報告書を構成するレソリックの中でも、反体制への言及に注目した。ちまたでは、アメリカはこれまでアサド政権に対抗する反政府勢力への武器援助を含む肩入れを継続していたことは明らかである。そして、その反政府勢力が化学兵器を使用したのだという情報も強く流れていた。この件に対する異常とも思えるべき反論を、徹底的に行っている。反体制は化学兵器は使用しなかった。使用したのはシリア政府軍であり、それを指示、命令したのも、シリア政府高官であると。
そして、ここからアメリカの矛盾に満ちた現状がみえてくる。この反政府勢力に、中東やアフリカの各地から、アルカイダを含むイスラム過激派が猛烈な勢いで参加し始めており、シリア政府に対抗している。反体制勢力に利するようにアメリカが行動を起こした場合、このようなテロ勢力をも助けてしまうジレンマが潜んでいる。
一方、オバマ大統領は、「私くらい、戦争を憎む人間はいない!」と強弁し、「アメリカ軍がシリアの地に踏み込むことはない!」と明言するのだ。テクニカルには、シリア沖合からのピンポイント爆撃による限定的な制裁としての軍事行動を意味している。
つまり、アメリカは、正義の使者、世界の警察としての「面子」を示す必要性にかられており、そのための軍事行動開始という側面が強い。
今、世界的な世論に変化のときが来ている。欧米各国とも、イギリス、カナダのように、連合軍には加わらないことや、声を大にしては叫ばないが、アメリカによる単独行動主義の危うさを恐れ、愚かだと思う世論は、確実に広がっている。各国とも、イラク戦争が愚かなロジックから始まり、後味の悪い結果になっていることを熟知している。

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